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モン母が見た映画のご紹介、我が家の猫・フェレットの写真など♪
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パンズ・ラビリンス
PANS LABYRINTH


監督・脚本:ギレルモ・デル・トロ
出演:イバナ・バケロ、セルジ・ロペス、マリベル・ベルドゥ、ダグ・ジョーンズ、アリアドナ・ヒル、アレックス・アンドロ、ロジャー・カサメジャー、フレデリコ・ルピ、マヌエル・ソロ 他
公式HP
2006年*スペイン・メキシコ*119分*PG-12


レビュー
1994年のスペイン。内戦終結後も山間部ではゲリラ達がフランコ将軍の圧政に反発し闘争を繰り広げていた。内戦で仕立て屋だった父を亡くした少女オフェリアは臨月の母と共に母の再婚相手であるビダル大尉の赴任した山奥へとやってきた。体調の悪い母のために途中で何度も休憩を取る中、オフェリアは山道で不思議な石を見つける・・・
第79回アカデミー賞 撮影賞・美術賞・メイクアップ賞 3部門受賞作品

だから少女は幻想の国で、
永遠の幸せを探した。


サントラはコチラ
パンズ・ラビリンス オリジナル・サウンドトラック
パンズ・ラビリンス オリジナル・サウンドトラック

ノベライズはコチラ
パンズ・ラビリンス
パンズ・ラビリンス
黒坂みひろ,ギレルモ・デル・トロ

2006年 第59回カンヌ国際映画祭の放送を見ていた時に非常に気になって仕方なかった作品。1年ちょっと掛かってようやくコチラでもシネプレックスで13日から公開が始まりましたが、午前中1回、午後3時台に1回、あとは21時過ぎのレイトショーのみという上映回数の少なさに唖然となりつつ・・平日観れないなら(仕事があるし)と公開初日のレイトショーにモン基地と観に行ってきました。

スペイン内戦に翻弄される人々の悲劇を隔絶された荒野に佇む孤児院を舞台に大人・子供・そして死者側の視点で捉えた異色のホラー『デビルズ・バックボーン』の延長線上にあるこの作品。
私の思い描いていた通り素晴らしい作品でした。
ただ、チラシや予告編だけを見てファンタジーというだけでご覧になられるとこれはとんだ間違い。ファンタジーな描写は意外と少なく前作同様スペイン内戦を根底にしたかなりダークで残虐なシーンも含まれておりますので(よってPG-12)その辺はご注意を。
以下、ネタバレしておりますので鑑賞後にお読み下さい。
頭から血を流し今まさにその命の灯火が消えようとしている少年を、為す術も無く哀しげな表情をしたもう一人の少年が見つめるところから始まる『デビルズ・バックボーン』と同様、息も荒く血を流し横たわるオフェリアの表情を捉えたシーンからストーリーが始まり、何となくこの物語の全容が垣間見えた感じがしました。

全編のあちこちに監督がお好きだという宮崎駿作品を意識したのかな?と思わせるようなシーンがありましたが(ま、偶然かもですが)ジブリ作品の主人公たちとオフェリアが全く違うのは数々の試練を乗り越え「成長」していく過程で彼女が自身を信じその上で辛い現実を捨て「大人になる事を拒んだ」という点でしょうか。

優しかった父が亡くなって冷酷無情なビダル大尉の子を身篭り彼の元へ行く母カルメンの事が理解できないオフェリアに「あなたも大人になったら分かるわ」と伏目がちに応える母親もまた辛い現実を受け止めて生きているのですね。
そんな母からも山道を進む車の中でおとぎ話を読んでいると「もうこんな本を読む歳じゃないでしょう」と言われてしまい彼女の寂しさと不安はますます増幅していくのだけれど、そんな時に妖精に導かれて入った敷地内の迷宮で出会う牧神(パン)から聞かされる自分の正体―本当は地下の王国のモアナ姫だという事。そして王国へ戻る為、彼女に課せられる3つの試練。
この作品の特筆すべきは現実とファンタジーの世界の有り様――現実と全くかけ離れた位置にファンタジーの世界が存在するのではなく、すぐ側に合せ鏡の如く存在しているという点が非常に面白く良く出来ていると思いました。

上でも述べましたが、意外にもそのファンタジーの世界のシーンというのは少ないのですが、それだけに鮮烈。ナナフシ&妖精、牧神パン&ペイルマン、ハリポタにも登場したマンドラゴラの根や巨大カエルなど、さすが数々の映画祭などで賞を取ったメイクや様々なシーンに用いられるCGは素晴らしかったです。
しかし、あの手に目玉をくっ付けて「ばぁ〜」って感じで回りを見回すペイルマン以上にビダル大尉の怪物ぶりは凄かったですが(つーか、ペイルマンは笑えますよね。でも妖精を喰っちゃう所は結構リアル〜)冷酷無常なファシストという反面、父親の遺した懐中時計を大事にしジャズを聞きながら髭を剃るというシーンが度々映し出され、ある意味彼もファシズムという世界の中で夢見てるロマンチストなのかなと思ったり。
セルジ・ロペス怪演でしたね。しかし・・あの口裂けはちょっと(苦笑)

当初7,8歳位の設定だったというオフェリアもオーディションに訪れたイバナ・バケロを見て(1000人の候補者の中から)監督が惚れ込んで彼女を抜擢した際に彼女の年齢に合わせて脚本を書き直したという入れ込みぶりが、彼女の絶妙な「少女」の時期を逃さずに撮っているこの作品を観てよく分かりました。結果、当初の年齢よりも上にした事でより物語に深みが出て良かったのではないかなと。

絶望の淵に立たされた時に一度は見放したパンが再び現れ、最後のチャンスを与えられたオフェリアは自らの意思で現実の世界に留まる事を捨て義父ビダル大尉と対峙する決意をしたのですが、とにかく分かっていたもののラストシーンは涙がポロポロ。
画面はあのファーストシーンに戻り、暗い現実の世界から気が付くと黄金に光り輝く宮殿の中サテン地の美しいドレスと赤い靴を履いた自分がいて、とうとう地下の王国へ辿り付き国王と月の女神である女王を見て微笑む(現実で血を流し横たわっているオフェリアも微笑む)シーンがそれは見事でした。

「人生はおとぎ話じゃないのよ。たとえ傷ついても世の中が残酷である事を学ばなければならないの。魔法なんて存在しないの!」とベッドの下に置かれたマンドラゴラの根を見て叱責した母。魔法を信じ、母親や生まれてくる弟の為に祈ったオフェリア。
果たしてどちらが正しいのか。どちらも正しいと思うのだけれど、そういう哀しい時代に生きなければならなかった人々の事を思うと何とも哀しく切なくて、オフェリアの最期はそれでも幸せに満ち溢れていたのだと死にかけた巨木に1輪だけ咲いた白く可憐な花に希望を見た作品でした。
| モン基地の母 | 映画(は行) | comments(2) | - |
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pico (2007/10/30 7:37 PM)
ほんと、あの口裂けはちょっと・・・ですよね。
うへぇえええ。
>ファシズムという世界の中で夢見てるロマンティスト。
これには、大きくうなずきました。
そう思うと、彼がダークファンタジーの中では一番の主役ですね。

ラストは、わかっていたも衝撃的な感動がおしよせてきて、とてもはかなく美しくて、ああこの瞬間のために、いままでの物語があったのだと思いました。
ええ映画でした。

PS.ベイルマン。笑いました!
モン基地の母 (2007/10/30 10:42 PM)
☆ picoちゃん
こちらも長いですね(汗)ほんとすみません。
やっぱあの口裂けはねぇ・・「口裂け女」ってホラー映画の予告を思い出しましたよ。
冷酷無情なんだけど、どこか憎めないような一面も持ってたりビダル大尉の描き方も上手かったですよね。

あのラストシーンはほんと見事でした☆
ボロ泣きでしたよ。

やっぱペイルマン笑えますよね。メイク大変そう〜